三澤経営センター 宮城県仙台市の会計事務所 公認会計士事務所

宮城県仙台市の会計事務所 公認会計士事務所の三澤経営センター。東北・宮城・仙台での経営相談はお任せください。

ファイナンシャルプランニング

正社員の労働時間をもっと短くするには実質賃金の上昇が不可欠

日本の就業者全体の平均労働時間が短くなっている。経済協力開発機構(OECD)の統計によれば、2013年の平均年間労働時間は1735時間で、ドイツ(1388時間)やフランス(1489時間)比べれば長いものの、1788時間の米国に比べれば短い。

しかし平均労働時間が短くなっているのは、短時間労働者の比率が増えているからで、日本の正社員の労働は短くなっておらず、これがワークライフバランスの実現を妨げているという議論が盛んだ。これは何とも不思議な議論である。正社員と短時間労働者を合わせた平均労働時間の減少が平均余暇時間を増加させたことは明らかなので、積極的に評価されるべき出来事のはずだ。

このような議論の背景には、短時間労働者を含む非正規社員の増加が、雇用の不安定化や低賃金化をもたらしている現実がある。非正規社員が増えているのは事実だが、それを問題視するのではなく、非正規社員の安定雇用と処遇改善をいかに実現するかを考えることが重要だ。短時間労働者の人為的供給増をもたらしてしまっている社会保険料負担の制度改革など、政府ができる改革にまず取り組む必要がある。

正社員の労働時間が減らないという現実を説明する上で、ボーナスも含めて計算した時間当たり名目賃金を消費者物価指数で割った実質賃金が、1990年代半ばからつい最近までずっと減少してきたという事実も重要だ。原油・食料などの1次産品の輸入価格が上昇し、工業製品などの輸出価格が下落して、交易条件が悪化したことの影響が大きい。
実質賃金が減少する中で、何とか生活水準を保つために労働時間を減らすことができなかったというのが現実であろう。長期にわたり労働時間を減らすためには実質賃金の上昇が不可欠で、そのためにはエネルギー政策や通商政策を通じて、交易条件を改善するといった政策にも取り組む必要がある。
ソフトな印象を与えるワークライフバランスの実現には、一見すると無関係な政策対応が本質的に重要である。

(週刊ダイヤモンド4/11号一橋大学経済学研究科教授 川口大司氏記事より抜粋)

経営に関するすべての悩み・ご相談を受け付けております。 022-262-4554