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社長のための経営講座

第94回 ユーロショックの危機

今年初め、全世界で運用するエクウィティファンドの日本法人の会長経験者とお会いした時に「今年はリーマンショックをはるかに超える経済危機が起きるでしょうね」というお話を聞きました。私は中国のバブル崩壊による経済不況が全世界に波及するということなのかと思っていましたが、それはキッカケに過ぎず本命はユーロ危機だということがわかりました。

EUは、ヨーロッパ28ヶ国が加盟して通貨ユーロの統一(ポンドなど他に10通貨が欧州使用されている)、人の往来の自由、経済取引の自由を確立しており、日本銀行に当たる中央銀行もあります。欧州中央銀行は、通貨ユーロの発行権限がありますが、主たる目的はユーロ圏の物価の安定です。ヨーロッパに行ってわかりますが、ドイツから高速道路でそのままフランスに行けます。統合前は、狭いヨーロッパの10か国を両替して回るだけでお金がなくなるといわれていました。

ユーロショックの震源地はドイツ。なぜ、ドイツなのか私も最初不思議に思いましたが、良く調べてみるとなるほどなと思うことが多々あります。EUはヨーロッパの中で強すぎるドイツの力を弱めて経済的繁栄をヨーロッパ全体で享受するために作られました。しかし、結果はドイツの1人勝ち。怠け者国家ギリシャは実質的に破綻状態であり、その借金はほとんどドイツが負担しなければならない状況です。ドイツは株バブルも不動産バブルも起きませんでした。これは藤井厳喜氏によると「オルド自由主義」—「市場の競争が必要だが、正しく機能させるためには国家の介入が必要である」という経済に対する考え方によります。ケインズ経済には耳を傾けず、経済不況対策の公共投資など問題外だということになりますし、金融政策も欠いています。先進的な国の行う経済政策とは、若干ソリが合わないところがあります。

ドイツ経済の中枢にあるドイツ銀行の規模は資産総額が264兆円、デイリバディブ取引は預金額の100倍の規模に達します。ドイツ銀行は役員の失態による辞任や10万人の行員の1/3をリストラしています。またドイツ銀行のCOCO債は暴落しています。COCO債は「偶発転換社債」と訳されており2019年から導入される自己資本規制(パーゼルⅢ)のために自己資本に加えることが出来ます。COCO債は金利が高い分、自己資本比率が下がった時に強制的に株式に転換することができる永久社債とでも言える債券で、欧州で1020億ドル(12兆円分)も売られています。ドイツ銀行は、政府が資本注入して倒産することはないでしょうが、ドイツの代表的な自動車メーカー、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題生産車の1/3が中国で売られている過度な中国経済への傾斜も問題です。

また、メルケル首相の寛容な難民に対する受入れ政策に国民からの強力な批判が出ています。何せ110万人の難民のうち、13万人も行方不明になっていて女性に対する暴行事件が社会問題になっているからです。強い指導力を発揮しているメルケル首相が辞めることになるようなことがあれば、EUにとっては深刻な問題。イギリスもEUからの離脱を問う国民投票をしようとしていますし、イタリア、スペインの銀行の不良債権処理もほとんど未処理のままです。ユーロショックのキッカケは、金融危機と難民危機からでてくるのかもしれません。

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