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社長のための経営講座

第96回 捨てられる銀行 ― 金融大改革

「捨てられる銀行」とは2016年5月に出版(講談社現代新書)された本のタイトルです。現森金融庁長官が進める地方銀行(含む信用金庫・信用組合)の金融大改革を述べたものであり、地銀の金融マンの必読書となっております。

 日本経済の活性化を目指してアベノミクスの3本の矢(大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)が実施されているところですが、地方経済、特に中小企業の業績がかんばしくなく、地銀のみが好調な決算をしています。日本経済のGDPの65%を占める中小企業の元気がないのです。

 その原因は、事業再生を進めている企業などに地銀から充分な資金が供給されていないことがあります。地銀が中小企業の経営支援に無関心、放置している最大の原因は「金融検査マニュアル」にあるということです。1995年~1998年に全国的に金融破綻する銀行が出て、1998年に金融庁が設置され銀行を監督する指針として1999年に金融検査マニュアルが作成されました。気がついたら中小企業が衰退・事業者数が減少して地方経済が疲弊する中、地銀のみが生き残っていたという訳です。

 森金融庁長官が進める地銀の大改革は、次のようなものです。まず「金融検査マニュアル」を廃止すること。年商3億円以下の企業は、信用保証協会付の融資が大部分ですが、継続融資(返済せず金利のみを支払う)を認めて、その融資格付けを要注意先から正常債権として扱って良いということです。年商3億円以上の中堅企業には担保や連帯保証にたよらずに事業性評価による融資を徹底させるというものです。地銀の融資方法の大転換を促しているのです。その指導に従わない地銀は金融再編の対象となり「捨てられる銀行」となるということです。金融庁は都市部と地方の金融機関の遠隔合併を推進するようです。

 事業性評価による融資とは、営業キャッシュフローを把握し、経営者の能力、商品開発力、技術力、顧客基盤力、営業販売力、組織管理力、収益管理力等財務情報では読み取れない企業力を評価して融資するというものです。地銀は人材削減され、融資先を訪問する機会も減っており、投資商品や生命保険も売らなければならない地銀金融マンにとっては本当に大変な時代になったと思います。

 金融庁は今年の8月に地銀に対して地方創生への貢献度を示す約50項目にわたる定量データでのベンチマークを公表し達成度合いを報告させると発表しました。ベンチマークは①担保・保証依存の融資姿勢からの転換、②地域の中核企業の経営改善、③事業再生や転廃業への取り組みという「3つのKPI」が達成できているかを点検していく新たな目線を設けました。

 不良債権処理のため生まれた金融検査マニュアルはもはや役割を果たし、地銀に対して融資先の地場企業の創業支援・成長支援・事業再生への取り組み・地域活性化・顧客満足・役員の質の向上などコンサルティング機能が重視されるようになります。

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