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労務関係

法律と産業構成の変化で減少を続けた労働災害の発生件数

長時間労働を苦にした若年女性の自殺が注目を集め、労働時間規制の議論が盛んになっている。仕事が理由で命を落とすという痛ましい事態は長時間労働だけで起こるわけではなく、2015年には972人が労働災害により貴い命を失った。

もっともこの数字、高度成長のさなかの1965年には年間約6000人であり、2015年の死亡者数は過去50年で初めて1000人を割った。1972年に労働安全衛生法が施行されたこともあり、1970年に約6000人であった死亡者数は1980年には約3000人まで半減する。労働災害が発生しやすい建設業や製造業の雇用に占める割合が低下したこともあり死亡者数は着実に減少し、今日の水準に達した。

死亡者数のほか休業4日以上の死傷者数も報告されているが、この数字も過去40年間で約35万人から約12万人へと着実に減少している。やはり減少が著しいのは建設業や製造業である。

全般的に労働災害が減少している中で、むしろ増加傾向にあるのが社会福祉施設等である。死傷災害は2012年の約6500件から2015年には約7600件へと増加している。移乗介護中に発生する腰痛や入浴介助中の転倒などがその典型例である。

このように労働災害発生件数は産業構成の変化の影響を強く受けていることがうかがわれる。規制の在り方も、この産業構成の変化の影響を強く受けていくだろう。労働災害の発生件数を抑制することが望ましいのは言うまでもないが、どの程度を目標にすべきかを論ずるのは容易ではない。例えば、介護労働者を補助するロボットスーツの導入など、さまざまな技術進歩の成果を取り入れることで労働災害を減らすことはできようが、相応のコストが掛かる。コスト負担は第一義には雇用主が行うことになるが、サービス価格の上昇や、労働者の賃金低下という形で消費者や労働者への負担の転嫁も起こり得る。

労働災害の発生をどの程度まで抑えるべきか、労働災害を減らすことの便益と費用を、歴史的経験も踏まえ、冷静に比較考量する議論のあり方が求められている。

(出所:週刊ダイヤモンド3/25号 東京大学経済学研究科教授 川口大司氏記事より抜粋)

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